Joseph Roty
ドメーヌ・ジョセフ・ロティは、ジュヴレ=シャンベルタンを拠点とする歴史ある造り手で、17世紀から続くロティ家の伝統を受け継いでいます。
長年にわたり「古樹」を大切に守り続けてきたことが最大の特徴で、樹齢50年から100年を超える区画も数多く残されており、そのブドウから生まれるワインは凝縮感と奥行きに満ちています。
ジュヴレ=シャンベルタンにおけるクラシックなスタイルの名手でありながら、同時にマルサネにも古木を中心とした優れた畑を多く所有し、この地域の評価を高めた立役者のひとつとされています。
代表作であるシャルム・シャンベルタンのトレ・ヴィエイユ・ヴィーニュは、ブルゴーニュ愛好家の間で特別な存在感を放っています。
力強い骨格と複雑な香り、そして長い熟成に耐えうるストラクチャーを備えたスタイルは、まさにジュヴレの伝統を体現しつつ、マルサネをはじめとする隣接エリアの可能性も示す存在です。
マルサネ
マルサネはコート・ド・ニュイの最北端に位置するAOCで、ディジョンの南隣という立地から「ブルゴーニュの玄関口」とも呼ばれます。
1987年に正式に村名AOCへ昇格する比較的新しいアペラシオンですが、赤・白・ロゼすべてを認めている点が他の村と異なる大きな特徴です。
特にロゼは古くから知られ、かつてディジョンの市民に愛飲された歴史を持ちます。
土壌はジュヴレ=シャンベルタンと同様に粘土石灰質を主体とし、標高の高低や方角によって多彩な表情を見せます。
そのためワインはフルーティで親しみやすいスタイルから、力強く骨格のあるものまで幅広く、近年は品質の向上によって注目度が高まっています。
また、プルミエ・クリュの昇格を視野に入れる区画もあり、これからの発展が期待される産地です。
ジュヴレやフィサンに隣接する地理的優位性もあり、ブルゴーニュの奥深さを知る上で欠かせない地域と言えるでしょう。
Marsannay 2016
2016年のマルサネは、ブルゴーニュ全体で春の霜や雹に悩まされた年でしたが、夏以降は好天に恵まれ、収穫時には健全で凝縮したブドウが実りました。
そのため、果実味にフレッシュさと熟度のバランスが取れた、クラシカルで落ち着きのあるスタイルが特徴となっています。
ジョセフ・ロティが手がけるマルサネ2016は、古木から得られる深みと複雑さが際立ち、ブラックチェリーやカシスの果実香にスパイスや土のニュアンスが重なり、香りに奥行きを与えます。
口中ではしっかりとした骨格を持ちながらも、酸が心地よく伸び、余韻にはミネラル感ときめ細やかなタンニンが残ります。
過度なボリューム感よりも調和を重視した仕上がりで、今すでに楽しめる親しみやすさと、数年の熟成によって一層丸みを帯びるポテンシャルを兼ね備えています。マ
ルサネという産地の魅力と2016年のクラシックな個性を体現する一本です。
味わい
ジョセフ・ロティのマルサネ2016は、グラスに注ぐとまずブラックチェリーやカシスといった濃密な黒系果実の香りが立ち上がり、そこにスミレやドライハーブ、スパイス、下草を思わせるニュアンスが重なります。
アタックはしなやかで、凝縮感のある果実味が広がりつつも、酸がしっかりと骨格を支えるため全体の印象は端正です。
タンニンはきめ細かく緻密で、若いうちはやや力強さを感じさせますが、時間とともに丸みを帯び、果実と美しく調和していきます。
余韻には土壌由来のミネラル感が感じられ、透明感のある旨味が長く続くのが印象的です。
華やかさよりも落ち着いたクラシカルな雰囲気を備え、ブルゴーニュらしい繊細さと力強さが同居するスタイルで、熟成を経ることで一層の複雑さとエレガンスを見せるポテンシャルを秘めています。
ペアリング
はじめまして。銀座6丁目にあるワインバー SHINOWINEのオーナー池部紫乃です。
2022年にソムリエ資格を取得し、その後もワインの学習を続け、2025年3月に念願の自分のワインバーをオープンしました。
SHINOWINEでは、ブルゴーニュ、シャンパーニュを中心に、気軽に楽しめるグラスワインから、本格的なボトルワインまで幅広くご用意しています。
お料理もできる限り手作りにこだわりました。
看板メニューのブッフブルギニョンは1年かけて自身最高のレシピを作り上げました。様々なお店も研究し、「パリ1番のブッフブルギニョン」と評されたお店でも味わいました。
一軒目でしっかりとしたお食事とワインをいただきたい方にも、二軒目使いにもお勧めのお店です。
皆様のご来店をお待ちしております。
SHINOWINE
〒104-0061 東京都中央区銀座6丁目9−14 方圓ビル3階