ジュヴレ=シャンベルタン プルミエクリュ クレピヨ2023/ジェラール・セガン

ジュヴレ・シャンベルタンの1級畑には名の知れた区画がいくつもありますが、そのなかで静かに存在感を放つのが Craipillot(クレピヨ)。

生産量が多くはないため、実はワインとして目にする機会はそれほど多くありません。

今回ご紹介する Domaine Gérard Seguin 2023 は、まさにこの“通好みの1級畑”の魅力を素直に映し出した一本。

畑の裏手に自宅を構えるセガン家が丹念に育ててきた区画で、ラヴォー渓谷から流れ込む土壌と、シャンポネ寄りの軽やかな土質がほどよい張りと清涼感を生みます。

派手さよりも調和を大切にした、心地よいジュヴレです。

Gevrey Chambertin 1er Cru Craipillot2023/Gerard Seguin

Gerard Seguin

ドメーヌ・ジェラール・セガンは、フランス・ブルゴーニュのコート・ド・ニュイ、ジュヴレ・シャンベルタン村で1850年に始まった歴史ある家族経営のドメーヌです。

創業者アレクシス・セガンは、19世紀にブドウ樹の接ぎ木技術の先駆者として活躍し、ブルゴーニュがフィロキセラの被害に見舞われた時期に接ぎ木技術で貢献し、多くの賞を受賞したことでも知られます。

こうした伝統を礎に、現在は5代目当主のジェローム・セガンがドメーヌを率いています。

ジェロームはボーヌの栽培・醸造学校で学び、2006年に参画、2018年に両親から経営を引き継ぎました。

彼は最新鋭の機材導入や情報発信にも力を入れ、伝統と革新の両輪で品質向上を図っています。

ドメーヌはジュヴレ・シャンベルタンを中心にシャンボール・ミュジニー、フィサン、マルサネにまたがる約6.25ヘクタールの畑を所有し、樹齢70〜100年に及ぶ古樹も含んでいます。

環境への配慮を重視し、化学除草剤を使わない栽培や、手作業中心の丁寧な畑仕事を行い、伝統的なテロワール表現を目指したワイン造りを続けています。

Craipillot

Craipillot(クレピヨ)は、ジュヴレ・シャンベルタン村内に位置する1級畑です。

地質的には比較的平坦な地形をもち、ラヴォー小渓谷から押し流されてきた土壌の影響を受けています。

これにより、土壌は堆積物を多く含み、果実に丸みのあるニュアンスが出やすいとされています。

ジェラール・セガンが畑の裏に家を構えている区画としても知られ、代々親密に向き合ってきた場所です。

また、畑のシャンポネ側は土質が軽いことが特徴として挙げられており、これがワインに繊細さとスムーズなテクスチャーを与える要因のひとつとなっています。

クレピヨは著名畑ほど名前が知られているわけではありませんが、ジュヴレの中では落ち着きのあるスタイルを生みやすい区画とされ、果実味のバランスと全体の調和が美しく整うことが魅力です。

華やかさよりも、丁寧に向き合うことでじんわりと魅力が開いてくるタイプの1級畑と言えるでしょう。

Gevrey Chambertin 1er Cru Craipillot/2023

2023年のブルゴーニュは、極端な気候ストレスが比較的少なく、健全でバランスの取れたブドウが収穫できた年でした。

過熟に傾かず自然な熟度を保ったことで、赤ワインは明るい果実味としなやかなタンニンが特徴となり、若いうちから楽しみやすいスタイルが多く見られます。

ジェラール・セガンのジュヴレ=シャンベルタン1級畑クレピヨ 2023も、その傾向が素直に表れています。

香りにはチェリーやラズベリーのような赤い果実が感じられ、口当たりは柔らかく、果実味がストレートに広がります。

タンニンは細かく穏やかで、全体は軽やかなバランス。ラヴォー小渓谷の影響を受ける土壌と、シャンポネ側の軽い地質によって、後味にはすっきりとした酸とほのかなミネラル感が残り、食事との相性も良い仕上がりです。

2023年らしい親しみやすさと、クレピヨらしい落ち着いた調和が感じられる1本です。

ペアリング

クレピヨ2023が持つ、明るい赤果実の風味と細かなタンニン、そして軽やかなバランスは、過度に重い料理よりも“素材の旨みをきれいに活かす料理”とよく調和します。

ジビエのような強い個性を求めるタイプではなく、肉の香ばしさやハーブの香りをやさしく引き立てるスタイルです。

SHINOWINEであれば、鴨コンフィは特に好相性。

鴨の脂の旨みと香ばしさに、赤果実のフレッシュさがすっと寄り添い、後味を軽やかに整えてくれます。

ローストポークや、香草を添えた鶏肉のグリルなど、シンプルながら火入れで旨みを引き出す料理もよく合います。

また、きのこのソテーや、軽めのバルサミコや赤ワインビネガーを使った前菜も相性が良く、ワインにある僅かなスパイス感が料理の香りと自然に響き合います。

全体にソースを重ねすぎず、素材そのものの風味が感じられる料理ほど、このワインの均整の取れた味わいがいっそう引き立ちます。

まとめ

クレピヨは、華やかな知名度こそ高くないものの、ジュヴレの1級畑の中でも“静かに奥行きを感じさせる”タイプの区画です。

ラヴォー渓谷由来の土壌、シャンポネ側の軽い土質といった特徴が、果実の明るさと滑らかな口当たりにつながっています。

2023年はその土地の良さが素直に表れ、フレッシュさと均整のとれた味わいが楽しめる仕上がり。

食事と合わせるほどに魅力が広がるスタイルです。

SHINOWINEではグラスでお試しいただけますので、ぜひこの“通好みの1級畑”の世界を気軽に体験してみてください。

料理との組み合わせもご提案しますので、ゆったりした時間とともに楽しんでいただければ嬉しいです。

 


 

 

はじめまして。銀座6丁目にあるワインバー SHINOWINEのオーナー池部紫乃です。

2022年にソムリエ資格を取得し、その後もワインの学習を続け、2025年3月に念願の自分のワインバーをオープンしました。

 

SHINOWINEでは、ブルゴーニュ、シャンパーニュを中心に、気軽に楽しめるグラスワインから、本格的なボトルワインまで幅広くご用意しています。

 

お料理もできる限り手作りにこだわりました。

看板メニューのブッフブルギニョンは1年かけて自身最高のレシピを作り上げました。様々なお店も研究し、「パリ1番のブッフブルギニョン」と評されたお店でも味わいました。

 

一軒目でしっかりとしたお食事とワインをいただきたい方にも、二軒目使いにもお勧めのお店です。

皆様のご来店をお待ちしております。

 

SHINOWINE

〒104-0061 東京都中央区銀座6丁目9−14 方圓ビル3階

SHINOWINE サイトトップへ→