クロ・ド・ヴージョ2018/ドメーヌ・ドゥ・ラ・ヴージュレ

クロ・ド・ヴージョはブルゴーニュを象徴する広大なグラン・クリュで、所有者ごとに異なる個性が映し出される特別な畑です。

ドメーヌ・ド・ラ・ヴージュレは、その中で上部(シャトー近く)と下部二つの区画を所有し、合わせて約1.4ヘクタールを手掛けています。

標高や土壌条件が異なる両区画のブドウを巧みに組み合わせることで、力強さと繊細さを併せ持つ独自のクロ・ド・ヴージョを生み出しています。

 

Clos de Vougeot 2018/Domaine de la Vougeraie

Clos de Vougeot

クロ・ド・ヴージョは12世紀、シトー派修道士がブドウ畑を開墾し、石垣に囲まれた広大な単一畑として発展しました。

約50ヘクタールもの面積を誇り、フランス革命以降は数多くの所有者に分割され、現在では80以上のドメーヌがそれぞれの区画を耕しています。

畑は上部・中部・下部で土壌と水はけが大きく異なり、上部は石灰質が豊富で繊細なミネラル感、中部は調和のとれたバランス、下部は粘土質が多く豊かな果実味と力強さをもたらします。

ドメーヌ・ド・ラ・ヴージュレは、この中で上部の(約1.05ha)と下部(約0.36ha)を所有しています。

二つの区画の個性を融合させることで、クロ・ド・ヴージョの威厳ある力強さと、ドメーヌ特有のエレガンスを両立。

歴史的な畑の多様性を、現代的な感性で表現したワインといえるでしょう。

Domaine de la Vougeraie

ドメーヌ・ド・ラ・ヴージュレの物語は、1964年にジャン=クロード・ボワセがジュヴレ=シャンベルタン村で「Les Evocelles」という区画を取得したことに始まります。

その後、ヴージョやコート・ド・ボーヌの区画を次々と取得し、1996年にボーヌ周辺に拡大。

そして、かつて僧院が所有した“黄金色のモノポール”、クロ・ブラン・ド・ヴージョを手に入れたことで、ドメーヌが完成しました。

ドメーヌの名前は、ヴージョ村にある由緒ある屋敷“ヴージュレ”にちなんで付けられ、1999年に正式に『ドメーヌ・ド・ラ・ヴージュレ』として独立しました。

創業当初から、ドメーヌはオーガニック農法を採択し、2001年にはより包括的な視点からビオディナミ農法へと移行。

2011年には全畑でこの手法が定着し、現在ではコート・ド・ニュイとコート・ド・ボーヌにまたがる約37~44ha、29〜37アペラシオンの区画を持つ、ビオディナミとオーガニックの両認証を受けた最大級の生産者の一つとなっています

醸造では、テロワールの個性を最大限に引き出すことを徹底し、低収量・丁寧な手作業・区画ごとの醸造を行います。

赤は2008年以降、全房発酵も積極的に採用し、力強さと複雑さを加味。

樽熟成にはシトー修道院の森の木材を使ったミュイド樽なども用い、月のリズムに沿った瓶詰めも実践されています

ワインのラインナップは幅が広く以下のような特別なものも造っています。

  • モノポール:白の「Le Clos Blanc de Vougeot」、赤と白の「Le Clos du Prieuré」

  • グラン・クリュ:シャルム=シャンベルタン、ボンヌ・マール、ミュジニー、コルトン、コルトン=シャルルマーニュなど

このように、ドメーヌ・ド・ラ・ヴージュレは長年にわたる着実な区画の蓄積と醸造哲学、そして幅広いラインナップを持つ現代ブルゴーニュの代表的存在です。

2018年

2018年はブルゴーニュ全体で温暖なヴィンテージとして知られ、特にグラン・クリュの赤ワインには優れた色調と凝縮感がもたらされました

ドメーヌ・ド・ラ・ヴージュレの「Clos de Vougeot 2018」は、この黄金の年らしく、非常に魅力的なスタイルを備えています。

香りにはプラムや温かみのあるスパイス、ポプリ、滑らかな新樽のニュアンスが感じられ、非常に豊かで官能的な印象

味わいは中〜フルボディで、果実の包み込むような厚みがありながら、柔らかな構造が印象深い。

余韻には滑らかな質感と調和があり、すでに魅力的ながら、今後の熟成も期待できる仕上がりです。

 

また、木苺やタルトチェリー、繊細な草のニュアンスも感じられるとの評価もあり、香りに軽やかさと複雑性を加えています。

全体として、エレガントで奥行き豊かな味わい、今後2025年から2045年にかけての熟成も見越せる、非常に完成度の高いグラン・クリュといえるでしょう。

 

ペアリング

この熟成ポテンシャルと複雑さを備えた2018年クロ・ド・ヴージョには、クラシックなペアリングがぴったり合います。

まず赤ワインに負けない豊かな味わいが特徴なので、グリルした赤身肉(例えばステーキや仔牛のロースト)とは理想的な相性です。

その力強いタンニンが、脂の甘みや肉の旨味を引き立てます。

さらに、濃厚なキノコソースのラムチョップもおすすめです。

ワインのスパイシーなアロマとキノコの香りが調和し、繊細ながら素材の深みを強調します。

鴨のロースト、フォアグラを添えた料理も相性がよく、果実味と脂質との対比が見事に味のアクセントとなります。

また、熟成チーズ(エポワスやトム・ブリーなどのリッチで香り豊かなチーズ)とも相性が良く、ワインのフルボディな構造や樽香がチーズの香りと調和します。

一方、ワインの滑らかさを活かすのであれば、赤ワインソースのグリル野菜ローストした根菜類とも意外と相性がよいでしょう。

2018年という温暖な年のワインだからこそ、料理にはしっかりとした味わい—塩味・旨味・質感—が求められます。端的に言えば、「力強さにふさわしい料理こそ、このワインに寄り添う」がペアリングの基本です。

まとめ

2018年のクロ・ド・ヴージョは、ブルゴーニュの偉大な歴史とテロワールを体現した堂々たるグラン・クリュです。

豊かな果実味と滑らかな質感、そして芯のある構造が一体となり、今まさに飲み頃を迎えつつも長期熟成の可能性を秘めています。

ドメーヌ・ド・ラ・ヴージュレは、上部と下部という異なる二つの区画を融合させることで、力強さとエレガンスを見事に調和させました。

SHINOWINEでは、特別な1本としてこのワインをご用意しています。

グラスを傾けるたびに広がる奥深い世界を、ぜひこの機会にお楽しみください。

 


 

 

はじめまして。銀座6丁目にあるワインバー SHINOWINEのオーナー池部紫乃です。

2022年にソムリエ資格を取得し、その後もワインの学習を続け、2025年3月に念願の自分のワインバーをオープンしました。

 

SHINOWINEでは、ブルゴーニュ、シャンパーニュを中心に、気軽に楽しめるグラスワインから、本格的なボトルワインまで幅広くご用意しています。

 

お料理もできる限り手作りにこだわりました。

看板メニューのブッフブルギニョンは1年かけて自身最高のレシピを作り上げました。様々なお店も研究し、「パリ1番のブッフブルギニョン」と評されたお店でも味わいました。

 

一軒目でしっかりとしたお食事とワインをいただきたい方にも、二軒目使いにもお勧めのお店です。

皆様のご来店をお待ちしております。

 

SHINOWINE

〒104-0061 東京都中央区銀座6丁目9−14 方圓ビル3階

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