ブルゴーニュ随一のグラン・クリュ、グリオット・シャンベルタン。
その畑の“地主”として特別な存在であるドメーヌ・デ・シェゾーは、畑そのものは所有しつつ、ポンソやルネ・ルクレール、ドニ・ベルトーといった名だたる造り手に“貸し出し”をして栽培や醸造をゆだねています。
いわゆる分益小作、メタヤージュと呼ばれる仕組みで、できあがったワインの一部が“地主”名義として販売されます。
ここでは、土地の個性と名匠たちの手技が響き合い、それぞれの造り手の個性が静かに表現されています。
たとえばポンソによるグリオット・シャンベルタンは、豊かな果実味と繊細な酸、そして香りの深みが見事に調和し、まるで土地と作り手の物語をそっと語りかけてくれるかのようです。
希少かつ親しみやすく、美しい調和を体感できる一本です。
Griotte Chambertin 2017 / Domaine des Chezeaux
Domaine des Chezeaux
ドメーヌ・デ・シェゾーの歴史は、1928年にメルシエ家がジュヴレ=シャンベルタン村でブドウ畑を所有したことに始まります。
そして1982年、フランソワ・メルシエがその所有をもとに「ドメーヌ・デ・シェゾー」を設立しました。
ドメーヌの名前は「クロ・デ・シェゾー(城壁内にある小区画)」という由緒ある畑名に由来します。
彼らは設立以来、自らワインを造るのではなく、著名な生産者たちに畑を貸し(=メタヤージュ方式)、ブドウ栽培から醸造・瓶詰めまでを委ね、その対価として収穫の3分の2を受け取り、「デ・シェゾー」名義で販売する形を続けています。
栽培を担ったのは、ローラン・ポンソ(グラン・クリュ数区画)、ルネ・ルクレール(特にグリオット=シャンベルタン)、そしてベルトー(ジュヴレのプルミエ・クリュ)という布陣です。
ドメーヌ・デ・シェゾーの最も印象的な特徴は、グリオット=シャンベルタンにおける最大所有者であること。
約60%の区画を保有し、その希少性と名声を支えてきました。
近年では、2021年にシャルル・ヴァン・カニエとアンヌ=ソフィー夫妻がこのドメーヌを取得。
メタヤージュ契約が終了するごとに畑を取り戻しつつあり、2023年からは自らの手でワイン造りを始動させています。
2024年にはクロ・デ・シェゾー、レ・カゼティエ、クロ・サン=ドニ、シャンベルタン、シャンボル=ミュジニー・レ・シャルムといったグラン・クリュおよびプルミエ・クリュを含む重要な畑が手中に収まり、ヴァン・カニエによる新たなドメーヌとして再出発しています。
Griotte Chambertin
グリオット・シャンベルタンは、ジュヴレ=シャンベルタン村の南端に位置するグラン・クリュで、わずか約2.7haほどしか存在しない小さな畑です。
名声高きシャンベルタンの一角を成しながら、その規模はきわめて限られており、希少性ゆえに愛好家の間では特別な存在とされています。
歴史的には、19世紀初頭にこの区画が公式に認められ、後にグラン・クリュの格付けを得ました。
名前にある“グリオット”は「さくらんぼ」を意味し、この畑から生まれるワインの赤い果実香や華やかさを象徴しています。
土壌は粘土石灰質で、水はけの良さと適度な保湿性を兼ね備え、ピノ・ノワールに理想的な条件を提供。
味わいは力強さよりもしなやかさに優れ、ラズベリーやチェリーを思わせる果実味と繊細な酸が特徴です。
複雑さと可憐さを併せ持つため「女性的なシャンベルタン」と評されることも多く、他の力強いグラン・クリュとは異なる独自の魅力を放ち続けています。
Griotte Chambertin 2017 / Domaine des Chezeaux
ジュヴレ=シャンベルタンのグラン・クリュ“グリオット・シャンベルタン”から生まれた非常に希少な赤ワイン。
ドメーヌ・デ・シェゾーはこの畑の地主として約60 %を所有し、畑は名門ポンソ(および一部ルネ・ルクレール)に貸し出す「メタヤージュ方式」を通じて栽培・醸造されています。
2017年ヴィンテージは、チェリーやラズベリーなど赤い果実の豊かな香りに、リコリスやスパイス、軽やかな鉱物感が調和する優雅な仕上がりです。
口に含むと、滑らかで官能的な口当たりがまず広がり、丸みのあるタンニンとともにしなやかさが感じられます。
「絹とレース」のようなテクスチャーはまさにその比喩にふさわしく、エレガントでありながら深い余韻を残します。
ワイン評論家ジョン・ギルマンも、ブラックチェリーやプラム、スモークのニュアンスが感じられ、“力強く華やか、構造もしっかりしていて素晴らしいバランス”と評しています。
加えて、Domaine des Chezeaux 名義で流通するこのワインは、通常のポンソのラベルよりも比較的手頃な価格帯でありながら、その品質はほぼ同一とされる点も特徴のひとつです。
メタヤージュ方式
グリオット・シャンベルタンの区画を大きく所有するドメーヌ・デ・シェゾーは、自らワイン造りを行わず、長年にわたり名門ポンソに畑を貸し出してきました。
いわゆる「メタヤージュ方式」で、収穫や醸造の労を担うポンソに収量の一部が渡り、残りが地主であるシェゾー名義として瓶詰めされます。
つまり、畑の管理から醸造までのプロセスは同一であり、ポンソラベルとシェゾーラベルの中身は基本的に同じワインです。
ただし流通経路と価格に違いがあり、ポンソの自社ラベルは世界的に知名度が高いため入手困難かつ高額になる一方、シェゾー名義は比較的求めやすい価格で市場に出回ります。
この仕組みは、造り手の技術と地主のブランドが共存するブルゴーニュならではの形であり、シェゾーのボトルは「ポンソ品質を堪能できる隠れた選択肢」としてワイン愛好家に高く評価されています。
味わいとペアリング
グリオット・シャンベルタン2017(シェゾー/ポンソ)は、その名が示すようにサクランボやラズベリーを思わせる赤い果実の華やかな香りが第一印象です。
そこにスミレの花やリコリス、ほんのりスパイスや土のニュアンスが重なり、複雑ながら繊細な香りの層を生み出します。
口当たりは驚くほどなめらかで、シルクのようにしなやかな質感を持ちながら、芯にはしっかりとした酸とミネラルが感じられます。
タンニンは緻密で角がなく、果実味と美しい調和を保ちつつ長い余韻を描きます。
2017年らしい柔らかさと親しみやすさを備えつつも、奥行きあるエレガンスが魅力です。
ペアリングには、鴨胸肉のローストや鶏の赤ワイン煮込みなど、旨味と甘みを持つ肉料理が理想的。
きのこのソテーやトリュフを使った料理も香りの相乗効果を高めます。
チーズなら熟成したコンテやエポワスが、ワインの果実味と旨味を引き立て、優美なマリアージュを楽しめます。
まとめ
グリオット・シャンベルタン2017/ドメーヌ・デ・シェゾーは、名門ポンソが手掛ける気品あふれる一本です。
チェリーのような果実味とシルクのような口当たりは、この畑ならではの魅力。
シェゾー名義でのボトルは、ポンソ品質をより身近に楽しめる“知る人ぞ知る”選択肢でもあります。
SHINOWINEでは、そんな希少なワインを厳選してご用意。
ブルゴーニュの奥深さと、造り手と地主が紡ぐ独自の物語を、ぜひグラスの中で体感してください。
はじめまして。銀座6丁目にあるワインバー SHINOWINEのオーナー池部紫乃です。
2022年にソムリエ資格を取得し、その後もワインの学習を続け、2025年3月に念願の自分のワインバーをオープンしました。
SHINOWINEでは、ブルゴーニュ、シャンパーニュを中心に、気軽に楽しめるグラスワインから、本格的なボトルワインまで幅広くご用意しています。
お料理もできる限り手作りにこだわりました。
看板メニューのブッフブルギニョンは1年かけて自身最高のレシピを作り上げました。様々なお店も研究し、「パリ1番のブッフブルギニョン」と評されたお店でも味わいました。
一軒目でしっかりとしたお食事とワインをいただきたい方にも、二軒目使いにもお勧めのお店です。
皆様のご来店をお待ちしております。
SHINOWINE
〒104-0061 東京都中央区銀座6丁目9−14 方圓ビル3階