ブルゴーニュの愛好家でも、モレ・サン・ドニで白ワインと聞くと少し驚くかもしれません。
〈アン・ラ・リュ・ド・ヴェルジィ〉は、グラン・クリュ「クロ・ド・タール」の斜面上方に位置し、標高の高い冷涼な区画。
ブリュノ・クレールが家族の畑を守るために購入し、1980年代に半分を白ブドウ、半分を黒ブドウに植えた場所です。
表土の少ない石灰質の土壌から生まれるこの白は、硬質なミネラルと澄んだ酸が特徴。
2018年は完熟果のふくらみと冷涼感が見事に調和し、モレの静謐な美しさを白で描き出した希少な一本です。
Morey St. Denis Blanc en la Rue de Vergy 2018 / Bruno Clair
Bruno Clair
ブルゴーニュ北部、Marsannay‑la‑Côteに拠点を構えるドメーヌ ブリュノ・クレールは、1979年に自身の名を冠してスタートしました。
そのルーツは19世紀初頭にまで遡り、クレール家は第六世代にあたるブリュノがワイン造りを引き継いでいます。
創業当初はマルサネ、フィサン、モレ=サン=ドニ、サヴィニー=レ=ボーヌといった村落に小規模な畑を所有していましたが、その後、名門畑を次々と増やすことで、現在では複数のグラン・クリュ・および1級畑に関わる27ヘクタール超の広域ドメーヌへと発展しました。
栽培・醸造の哲学として、土壌の個性(テロワール)を最大限に尊重する姿勢が際立っています。例えば化学除草剤を排し、被覆草生や手作業を重視する畑仕事を行っているほか、醸造においても新樽の割合を控えめにし、発酵・熟成プロセスには伝統と慎重さを兼ね備えた手法を採用しています。
このドメーヌのワインは「力強さと優雅さのバランス」「緻密な表現」がキーワード。
特にピノ・ノワール主体の赤ワインが注目されがちですが、白のシャルドネにおいても、南向き急斜面の石灰質土壌などを背景に、硬質なミネラルと鮮やかな酸を骨格とした表現力を備えています。
マルサネを起点に、コート・ド・ニュイを縦断する名所畑を抱えるブリュノ・クレールの作品群は、熟成ポテンシャルとテロワール感の両立において、ブルゴーニュ愛好家から高い評価を得ています。
モレ・サン・ドニ ブラン
モレ・サン・ドニ・ブランは、ブルゴーニュの中でもきわめて珍しい存在です。
モレ・サン・ドニといえば、通常はピノ・ノワールによる赤ワインの名産地として知られていますが、実はごく限られた区画でシャルドネが栽培され、少量の白ワインが造られています。
畑はいずれも村の上部、標高の高い冷涼な位置にあり、表土が薄く石灰岩が多いのが特徴。
そのため、ムルソーやピュリニーのようなボリューム感ではなく、むしろシャンボールやヴージョの丘上部に通じるような、緊張感のあるミネラルと引き締まった酸が際立ちます。
生産量が少なく市場ではほとんど見かけないものの、赤ワインの産地であるモレの“もうひとつの顔”として注目を集めています。
繊細で清涼感のある味わいは、魚介料理や山羊チーズなどと相性抜群です。
Morey St. Denis Blanc en la Rue de Vergy 2018
Morey St. Denis Blanc “En la Rue de Vergy” 2018 は、ブルゴーニュでも稀少な「モレ・サン・ドニの白ワイン」として知られています。
畑はグラン・クリュ〈クロ・ド・タール〉の斜面上方、標高の高い冷涼な場所にあり、表土が薄く石灰岩が露出する硬質な土地。
ブリュノ・クレールが家族の畑を守るためにこの区画を購入し、半分を白ブドウ(シャルドネ)、半分を黒ブドウ(ピノ・ノワール)に植えたことから始まりました。
冷涼な気候により、果実味は控えめながらも緊張感ある酸と澄んだミネラルが際立ち、透明感と張りのある味わいを描きます。
2018年は温暖な年でしたが、果実のふくらみとミネラルが絶妙に調和し、石灰のニュアンスを伴った余韻が長く続く、静謐でエレガントな一本です。
ペアリング
Morey St. Denis Blanc “En la Rue de Vergy” 2018は、冷涼なミネラル感と繊細な酸を持ちながら、2018年らしい熟した果実のふくらみも感じられる一本です。
その透明感のある味わいは、料理の脂や塩味をやさしく受け止めながら、余韻に清らかな印象を残します。
ペアリングとしておすすめなのは、シンプルに火を入れた魚料理。
スズキのポワレや白身魚のムニエル、さらには貝類のヴァン・ブラン蒸しのような料理が、ワインの塩味と石灰的なミネラルを際立たせます。
熟成によるナッティな香りが出てくると、鶏肉のクリーム煮やホタテのグラタンのような少しリッチな皿にも寄り添います。
SHINOWINEのメニューなら、ドフィノワや軽やかなチーズの盛り合わせと合わせても見事な調和を見せるでしょう。
静かな余韻とともに、穏やかな夜を演出してくれる白です。
まとめ

はじめまして。銀座6丁目にあるワインバー SHINOWINEのオーナー池部紫乃です。
2022年にソムリエ資格を取得し、その後もワインの学習を続け、2025年3月に念願の自分のワインバーをオープンしました。
SHINOWINEでは、ブルゴーニュ、シャンパーニュを中心に、気軽に楽しめるグラスワインから、本格的なボトルワインまで幅広くご用意しています。
お料理もできる限り手作りにこだわりました。
看板メニューのブッフブルギニョンは1年かけて自身最高のレシピを作り上げました。様々なお店も研究し、「パリ1番のブッフブルギニョン」と評されたお店でも味わいました。
一軒目でしっかりとしたお食事とワインをいただきたい方にも、二軒目使いにもお勧めのお店です。
皆様のご来店をお待ちしております。
SHINOWINE
〒104-0061 東京都中央区銀座6丁目9−14 方圓ビル3階

