ブルゴーニュのなかでも名高い「コート・ド・ニュイ」地域。
その名を冠する「コート・ド・ニュイ・ヴィラージュ」は、格付けを持たない村々のブドウを統合して生まれたAOCです。
その2018年ヴィンテージを手がけた ドメーヌ・ダニエル・リオン は、僅か2 haから出発した小さなドメーヌが、いまや約18 haの畑を所有し、品質と伝統を守り続けてきた家族経営の造り手です。
このワインは、力強さと繊細さを併せ持ち、骨格のしっかりしたタンニンと豊かな果実味が特徴。
熟成のポテンシャルも秘めており、飲み頃をゆっくり待つ楽しみもあります。
コート・ド・ニュイ・ヴィラージュの魅力を、産地背景から味わいまでじっくり紐解いていきましょう。
COTE de NUITS-VILLAGES 2018/Domaine Daniel Rion&Fils
Domaine Daniel Rion&Fils
ドメーヌ・ダニエル・リオン(Domaine Rion Daniel et Fils)は、ブルゴーニュ地方のニュイ=サン=ジョルジュ近郊、プレモー=プリセ(Premeaux-Prissey)を拠点とする家族経営のワイナリーです。
創業は1955年で、当初はわずか2ヘクタールの畑からスタートしました。
オリジナルのワインの多くはネゴシアン向けに販売されていましたが、1978年ヴィンテージ以降、より多くを自社ボトリングに切り替え、独立したドメーヌの道を歩み始めました。
家族の2代目・3代目が参加し、ドメーヌは徐々に拡張。
現在ではシャンボール=ミュジニー、ヴォーヌ=ロマネ、ニュイ=サン=ジョルジュの村名格、さらにはグラン・クリュのクロ・ヴージョとエシェゾーも含む畑を合計で約6ヘクタール管理しています。
ワイン造りにおいては伝統的なスタイルを堅持。
年間を通じた丹念なブドウ栽培、手摘み収穫、厳格な選果を行い、発酵温度の制御や開放タンクでの醸造、マセラシオン期間(約15日〜3週間)や樽熟成(12〜18か月)など、ワインのテロワールと質を活かす丁寧な手法を採用しています。
品質の安定性も評価されており、ある評論家は「家族の個性を感じさせながら、クリーンで果実味が豊か。年を重ねるごとにタンニンも洗練されてきた」と高く評しています。
このように、ドメーヌ・ダニエル・リオンは、比較的小規模ながらもブルゴーニュの伝統とテロワールを忠実に表現するワイン造りを続ける存在と言えるでしょう。
コート ド ニュイ ヴィラージュ
コート・ド・ニュイ・ヴィラージュ(Côte de Nuits-Villages)は、ブルゴーニュ地方の「コート・ド・ニュイ」地区のうち、より手頃ながらも地域色を反映する村名格ワインを指すAOCです。
このアペラシオンは、北部の フィサン(Fixin)、ブロション(Brochon) と、南部の プレモー=プリセ(Prémeaux-Prissey)、コンブランシアン(Comblanchien)、コルゴロアン(Corgoloin) の5つの村が原産地として認められており、これらはコート・ド・ニュイ南北端の傾斜地に点在しています。
赤ワインが主体で、主にピノ・ノワールを用いて造られるおり、白ワインはごく少量でシャルドネを用いる場合があります。
ワインの性格としては、中程度のタンニンと明るい酸を備え、果実味と土地のミネラルや土壌由来の風味が調和する傾向があります。
歴史的には、1937年に「Vins fins de la Côte de Nuits(コート・ド・ニュイ上級ワイン)」という名称で設立され、1964年には現在のAOC名「Côte de Nuits-Villages」に改組されました。
値ごろ感を重視しつつ、コート・ド・ニュイのスタイルを感じさせる入り口的なワインとしての役割を担っています。
このように、コート・ド・ニュイ・ヴィラージュは、複雑で名高いコート・ド・ニュイ産ワインの世界と、日常的飲用のワインとの橋渡しをする存在として、程よい品質とコストのバランスを提供する魅力を持つアペラシオンと言えるでしょう。
Côte de Nuits-Villages 2018 / Domaine Daniel Rion & Fils
比較的手頃な価格帯でありながらコート・ド・ニュイのテロワールを感じさせる赤ワインとして注目される一本です。
使用されるブドウは主にピノ・ノワール。
チェリーやラズベリーといった赤い果実の香りを基調に、リコリスや、アーシーなニュアンスが感じられることもあります。
口に含むと、まず果実味が豊かに立ち上がり、次いでしなやかなタンニンと適度な酸がバランスを支えます。
「タンニンは熟して丸みがある」との評もあり、きつすぎず、滑らかな口当たりを持つことが期待できます。
ワインスペクテーター誌では、この2018年版について「純粋なチェリーやラズベリーのフルーツ香が、花や土っぽさのアクセントとともに照らし出される。活力があり、バランスもよく、余韻も長い」と評価され、90点の高評価をつけています。
生産量は限定されており、輸入量も限られているため、見かけたらぜひ手に入れたい銘柄です。
比較的若いうちはデキャンタージュや空気に触れさせることで香りや風味の広がりが期待でき、3〜8年の熟成ポテンシャルを持つと考えられます。
コート・ド・ニュイ・ヴィラージュという肩書きを持つこのワインは、その土地らしさを気軽に楽しむ入門としても最適な一本といえます。
ペアリング
「Côte de Nuits-Villages 2018 / Domaine Daniel Rion & Fils」は、ピノ・ノワールらしい繊細な果実味と、2018年ヴィンテージ特有の熟した果実の厚みが調和した一本です。
その柔らかく丸みのあるタンニンと心地よい酸が、肉料理からチーズまで幅広い食事に寄り添います。
特におすすめは、鴨のコンフィや豚肩ロースのロースト。
脂の旨みを程よく引き立てながら、ワインの赤い果実香とスパイスのニュアンスが後味を引き締めます。
また、きのこを使った料理、例えばマッシュルームのソテーやポルチーニのリゾットとも好相性。
ワインに潜む土のニュアンスが料理の香ばしさと共鳴します。
SHINOWINEのメニューでは、牛ホホ肉の赤ワイン煮込みのような深みのある味わいの料理ともよく合い、ワインの豊かな果実味がソースのコクを引き立てます。
チーズならコンテやエポワスなど、熟成タイプを少し温度を上げて楽しむのもおすすめです。
力強さとしなやかさを兼ね備えたこの2018年のCôte de Nuits-Villagesは、クラシックなブルゴーニュ料理との相性が抜群の一本です。
まとめ
「Côte de Nuits-Villages 2018 / Domaine Daniel Rion & Fils」は、華やかな果実味としなやかなタンニン、そして心地よい酸が織りなす、まさにブルゴーニュの魅力を凝縮した一本です。
華やかさの中に土壌由来の落ち着きがあり、飲み進めるほどに深みと余韻が広がります。
村名格上の品質を感じさせながら、肩の力を抜いて楽しめるのもこのワインの魅力。
SHINOWINEでは、こうした造り手の個性とヴィンテージの味わいを大切に、一杯一杯丁寧にご提供しています。
ブルゴーニュの奥行きを感じる一本を、ぜひ静かな夜にじっくりと味わってみてください。
グラスの中に、コート・ド・ニュイの息づかいを感じていただけるはずです。
はじめまして。銀座6丁目にあるワインバー SHINOWINEのオーナー池部紫乃です。
2022年にソムリエ資格を取得し、その後もワインの学習を続け、2025年3月に念願の自分のワインバーをオープンしました。
SHINOWINEでは、ブルゴーニュ、シャンパーニュを中心に、気軽に楽しめるグラスワインから、本格的なボトルワインまで幅広くご用意しています。
お料理もできる限り手作りにこだわりました。
看板メニューのブッフブルギニョンは1年かけて自身最高のレシピを作り上げました。様々なお店も研究し、「パリ1番のブッフブルギニョン」と評されたお店でも味わいました。
一軒目でしっかりとしたお食事とワインをいただきたい方にも、二軒目使いにもお勧めのお店です。
皆様のご来店をお待ちしております。
SHINOWINE
〒104-0061 東京都中央区銀座6丁目9−14 方圓ビル3階