ドン・ペリニヨンとは?基礎知識と味わいの特徴、合わせる料理

ドン・ペリニヨン(Dom Perignon)はモエ・エ・シャンドン社(Moët & Chandon)によって生産されるプレステージシャンパンの銘柄です。

モエ・エ・シャンドン社はフランス、シャンパーニュ地方、エペルネに本社を置く、最大規模を誇る巨大シャンパン製造会社です。

現在はパリに拠点を置くコングロマリット企業のLVMH ルイ・ヴィトン・モエ・ヘネシー社の傘下にあります。

 

1921年から2009 年まで、ドン・ペリニヨンは43のヴィンテージで生産されています。

生産年は以下の通りです。

1921, 1926, 1928, 1929, 1934, 1943, 1947, 1949, 1952, 1953, 1955, 1959, 1961, 1962, 1964, 1966, 1969, 1970, 1971, 1973, 1975, 1976, 1978, 1980, 1982, 1983, 1985, 1988, 1990, 1992, 1993, 1995, 1996, 1998, 1999, 2000, 2002, 2003, 2004, 2005, 2006, 2008, 2009, 2010,2012

当初は白のみでしたが、1959年以降ドン ペリニヨンのロゼも生産されています。

 

近年の優良ヴィンテージでは、とくに2002年と2008年ヴィンテージの評価が高いです。

2002年は2008年がリリースされるまでは近年のヴィンテージの中で最高級と考えられていました。

他には2005年のロゼも評価の高いヴィンテージになります。

シャンパーニュ地方では年間約3億本のシャンパンを出荷しています。

これだけでもすごい数字ではありますが、驚くことにモエ・エ・シャンドン社だけで出荷量は3000万本。なんと全生産量の1割を占めているのです。

 

 

ドンペリニョンの基礎知識

歴史・起源

ドン・ペリニヨンは「シャンパンの祖」と言われるベネディクト会の修道士でセラーマスターだったドン・ピエール・ペリニヨンにちなみます。

 

ブドウ栽培の技術の向上、シャンパン造りにおいて重要なブレンド(アッサンブラージュ)の技術、黒ブドウから白ブドウを造る圧搾法の開発など今日のシャンパンの誕生と発展に貢献した人物です。

 

ドン・ピエール・ペリニヨンが1715年に死去した後、モエ・エ・シャンドン社が「ドン・ペリニヨン」の商標権を獲得したことからシャンパンのドン・ペリニヨンがスタートします。

その後、1936年に1921年収穫のブドウを使った最初のドン・ペリニヨンが造られます。

そのころすでに世界経済の中心地であったアメリカ、ニューヨークに船便で輸出され売り出されたのです。

ドンペリニョンはまた、プレステージシャンパンとしても最初のものでした。

 

ドン・ペリニヨンの特徴

ドン・ペリニヨンは熟成年数の長い「ヴィンテージ・シャンパン」のみ生産されます。

 

シャンパンはノン・ヴィンテージで最低15ヶ月、ヴィンテージで3年の熟成期間が義務付けられていますが、ドン・ペリニヨンの場合は最低でも8年間熟成させています。

この熟成年数の長さがドン・ペリニヨンに複雑で豊かな味わいを与えているのです。

 

通常シャンパーニュは毎年変化する天候・気候条件にも対応ができるように、異なるヴィンテージがブレンドされることがほとんどです。

しかしドンペリニョンは、原料となるブドウはモエ・エ・シャンドン社が所有するグラン・クリュとプルミエ・クリュの畑の、単一年に収穫されたブドウのみから造られます。

 

複数年のワインをブレンドすることで品質は平均化をされますが、これは同時に品質の極めて高いワインまでも平均化されてしまうことを意味しています。

ドンペリニョンは単一の年数の極上のブドウにこだわるため、複数年のワインのブレンドはせずに単一年のワインを造っているのです。

 

その上で収穫されたブドウは厳しく審査され、その品質がドン・ペリニヨンの基準に満たないと判断された場合にはその年のヴィンテージのドン・ペリニヨンはリリースされないと言うこだわりの強さです。

 

モエ・エ・シャンドン社は多くのブランドを設けずに厳選したいくつかのブランドでシャンパーニュを売り出しています。

ドンペリニョンもその一つですが、ドンペリニョンの中にいくつかの枝の商品があります。

 

ドン・ペリニヨン ロゼ:10年〜

ドン・ペリニヨンP2:16年〜

ドン・ペリニヨン エノテーク:16年〜

ドン・ペリニヨン レゼルヴ・ド・ラベイ:20年〜

ドン・ペリニヨンP3:25年〜

 

なお、P2はsecond plenitude(2番目の豊富さ)の意味で、15年以上もの間セラーで熟成をさせた特吟物のなかの特吟物です。

P2より熟成期間の長いものはそれだけの長期熟成に耐えられると判断されたぶどうだけで造られたとても希少価値の高いものです。

 

 

ブドウ品種

ブドウ品種は通常のドン・ペリニヨンは黒ブドウのピノ・ノワールと白ブドウのシャルドネを半分ずつブレンドしています。

ただし気候条件やブドウの個性によってシャルドネとピノ・ノワールのバランスは6対4まで変更される事もあります。

(1970年ヴィンテージのみが例外的に65%シャルドネ)

 

ドンペリニヨンロゼは基本的にピノ・ノワールが主体で、赤ワインを白ワインに添加するアッサンブラージュ法により造られます。

 

【ピノノワールについてはこちらをご覧ください】

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ドン・ペリニヨンの香りと味わい

ドン・ペリニヨンは爽やかな酸味と、豊かなミネラル感で知られています。

果実の香りは白のドン・ペリニヨンはリンゴや柑橘類のようなスッキリとした香り、ロゼは赤いフルーツとフローラル、特にバラの華やかな香りがします。

熟成期間が長いもの程、芳醇で複雑な香りが増し、成熟したナッツやトースト、コーヒー、クリーム、ヴァニラ、そしてほのかなスパイスが感じられようになってきます。

また、泡立ちも柔らかく優しい舌触りになって行きます。

 

ドン・ペリニヨンのマリアージュ

基本的にシャンパンはどのようなお料理・おつまみにも合わせやすいと言われているので、幅広く色々なものと頂けます。

ですが特に塩気のあるもの、クリスピーなものとの相性が抜群なので、キャビアやサクッと揚げたフライ等は良い組み合わせです。

またドン・ペリニヨンは熟成期間が長く、しっかりとした風味があるので、コクのあるお料理にも合わせやすいです。

各タイプにオススメしたい組み合わせをご紹介します。

 

【マリアージュについてはこちらをご覧ください】

[blogcard url=”https://winebooks-media.com/mariage/”]

ドン・ペリニヨン

脂肪分が多く、しっかり味付けされたクリスピーな物と最も良く合います。

柑橘の風味が口の中の塩気・脂肪分を洗い流してさっぱりと頂けます。

また、しっかりしたシャンパンの泡はカリカリした食感のお料理にとても合います。

ヴィネガーのドレッシング、濃い葉物野菜など酸味や苦味の強いものは避けたほうが良いでしょう。

 

ドン・ペリニヨン ロゼ

ロゼは白よりも色素成分を含み、若干の渋みを含んでいます。

味わいそのものはクリーミーでフルーティーなので、ブリーチーズ、フォアグラなどクリーミーなお料理に合います。

 

ドン・ペリニヨン P2

複雑性のあるP2はスモークされたものやマイルドなカレーなど、少しスパイシーな料理に最適です。

シャンパン自体のスモーキーさ・スパイシーさ等複雑な風味とマッチします。

ですが、シャンパンと喧嘩する程のとても辛いものは不向きです。

 

ドン・ペリニヨン P3

とても風味が豊かなので、ワイン単体でもいいですが、デザートとも良く合います。

コース料理をP3一本で楽しむ場合は、デザートまでしっかりと合わせられるのでお勧めです。

 

また、豚肉、サーモンのように脂肪分の多いお料理とも相性が良いです。

P3の泡はとても柔らかいので、お料理もクリスピーなものよりは柔らかい物と合わせてください。

クリスピーであまり塩気の強いお料理と合わせると、熟成により生まれた繊細な風味を味わうのが難しくなります。