ローランペリエ シャンパーニュとは?基礎知識と合わせる料理

ローラン・ペリエ(Laurent-Perrier)は1812年に設立されたシャンパン・メゾンです。

ローラン・ペリエはローラン・ペリエグループの主力ブランドで、その他にサロン・ドゥラモット・カステラーヌなどがグループの傘下にあります。

モエ・エ・シャンドン、ヴーヴ・クリコに次いで世界で3番目に売れているメゾンです。

 

ローランペリエは約2000軒のブドウ農家と契約を結び、160カ国近くに輸出をしています。(2018年時点)

ロイヤル・ワラント(王室御用達)としてチャールズ国王が推奨する唯一のシャンパンでもあり、ウィリアム王子とキャサリン妃の結婚式当日の晩餐会でも供されました。

 

ローランペリエ シャンパーニュの基礎知識

ローラン・ペリエの歴史・起源


もともと桶の職人であったアンドレ・ミシェル・ピエルロが1812年に始めたネゴシアン(農家から仕入れたブドウでワインを醸造し出荷する)がローラン・ペリエの前身です。

これを息子のアルフォンスが事業を拡大した後に醸造長のウージェーヌ・ローランが引き継ぎました。

 

ウージェーヌが亡くなった後にマティルド・エミル・ペリエ夫人が事業を引き継いだ際に二人の姓を合わせた〝ヴーヴ・ローラン・ペリエ〟と言うメゾンの名前が生まれました。

これがローランペリエの名称の起源になります。

 

(veuveは未亡人と言う意味)未亡人の活躍でローランペリエは成功を収めます。

最大のマーケットであるイギリスへの輸出をスタートし世界的ブランドに発展しかけていましたが、未亡人が亡くなった後に世界大恐慌の影響もあり停滞・衰退してしまいました。

 

このような状況の下、ローラン・ペリエの名前だけが残っているような状態でしたが、第二次世界大戦が始まる直前にランソン社のマリー・ルイーズ・ド・ノナンクールが買収し再建に着手しました。

マリー・ルイーズ・ド・ノナンクールは大戦中もローラン・ペリエの再興に尽力します。

 

この時代は戦時下ですから歓楽に対し抑圧的な風潮があり、お祝い事に楽しまれるシャンパーニュにとっては大変な逆風です。

また、戦時特有の特別税が重くのしかかり決してビジネスとしてはいい時代ではありませんでしたが、それを押し切っての判断でした。

 

その後、マリーの息子であるベルナール・ド・ノナンクールに経営が引き継がれてから、シャンパン業界でも奇跡と呼べる程の躍進を遂げました。

ベルナールは第二次世界大戦でレジスタンスとしてドイツ軍と戦って居ましたがメゾンを立て直す事を決意してシャンパーニュに帰りました。

 

ベルナールがメゾンを引き継いだ当時、年間8万本程度のシャンパンを細々と造っている状況でした。

これはシャンパーニュのメゾンの中でも100位中98位に甘んじていましたが、約700万本の生産量を誇る大企業まで拡大させました。なんと約90倍の生産量です。

 

ローラン・ペリエの成功

Par Champagnelaurentperrier — Travail personnel, CC BY-SA 4.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=73355506

ベルナールは近代的なステンレスタンクや最先端の瓶詰め装置を導入する等、革新的なシャンパン造りを行いました。

また、それと並行して良質な畑を持つブドウ農家と長期契約を結び、次々と畑を買収し自社畑を広げる等して原料の確保を行い量産の体制を整えました。

 

独自の発想でローラン・ペリエを発展させたベルナールですが、もう一つの成功の鍵は”人の和”です。

従業員や契約農家とのコミュニケーションを大切にし、収穫時期には自ら畑を巡り、収穫祭を共にするなど密接な関係を築きます。

また彼らの利益と企業の利益を一致させるように努めました。(これは当時のフランスではとても珍しい事です)

ローラン・ペリエの発展は彼らの信頼と忠誠心無くして達成出来なかったのです。

 

ローラン・ペリエの特徴と味わい

ローラン・ペリエのシャンパンは近代化されていますが、決して安易な工場化や合理性を追求した造りと言う訳ではありません。

仕込みに使うワインは全て手摘みで、一番絞り(キュヴェ:酸味の豊富なピュアな果汁で熟成に向く)のみを使用して居ます。

またデゴルジュマン(瓶内二次発酵時に生じた澱を取り除く作業)は手作業で行なっています。

 

ローラン・ペリエは「フレッシュさ」「エレガントさ」「バランスの良さ」がスタイルで、飲みやすく親しみやすい味わいが特徴です。

スタンダードクラスのブリュットタイプの「ラ・キュヴェ」にはリッチさはさほど感じられません。

しかし溌剌とした泡立ちにすっきりとした口当たり、甘すぎず酸っぱすぎず、軽すぎず重すぎず、まさにオールラウンドなので、いつでも、どんなシーンでも楽しめます。

 

ローランペリエのラインナップとおすすめするペアリング

・ウルトラブリュット

https://www.laurent-perrier.com/fr/

一切ドサージュ(加糖)しないシャンパンで、1981年に誕生。

軽やかで新しい味わいが求められ始めた当時、ベルナールの先見性により生まれた。ゼロ・ドサージュの先駆的な存在です。

※シャルドネを主体にピノ・ノワールをブレンド

ペアリング

シーフード料理、特に柑橘類を使ったものがおすすめで、白身魚のセビーチェなど。

 

・ラ・キュヴェ

シャルドネを主体に55もの畑から収穫されたブドウを使用します。

メゾンのスタイルである「フレッシュさ・エレガントさ・バランスの良さ」を体現する、ローラン・ペリエ社のメインアイテムです。

※シャルドネ主体でピノ・ノワール、ピノ・ムニエを少量使用

ペアリング

どんなお料理にも万能だが、フレッシュでピュアなので食前酒として最適です。

鶏肉や白身魚などの淡白な食材をあっさりと仕上げた前菜とも相性が良いでしょう。

 

・ドミ・セック

最近では辛口のブリュットが好まれますが、18世紀の王侯貴族に好まれていたシャンパンは甘口タイプでした。

その古き良き時代の味わいを伝えるのがローラン・ペリエ ドミ・セック。甘みを持ちながらフレッシュで凝縮感のある味わいです。

デザートや風味が豊かな料理との相性が良いでしょう。

※シャルドネ主体でピノ・ノワール、ピノ・ムニエを少量使用

ペアリング

クリーミーなブルーチーズ、甘みのある料理、デザートやペストリー(パイやタルト)

 

・ブリュット ミレジメ

数少ない限られた年にのみ生産。

「フレッシュさ」「エレガントさ」「バランスの良さ」を基本としながら、その年のブドウの特徴を表現できるヴィンテージにリリースされます。

※シャルドネとピノ・ノワール半々

ペアリング

魚介類、鶏肉、仔牛と良く合う。また、若めのコンテチーズやボーフォールなどハードチーズ

 

・ロゼ

アンボネイ、ブジーなど格式の高い畑のピノ・ノワールのみを使用した野いちごなど赤系果実の香りとふくよかさが感じられる鮮やかなロゼ。

※ピノ・ノワールのみ使用

ペアリング

生魚のマリネやグリルしたエビ、パルマハム、赤いベリーを使ったデザートなど。ちょっと大胆な組み合わせとしてはアジア料理やインド料理などがお勧めです。

 

 

・ブラン・ド・ブラン

ブラン・ド・ブランのフレッシュさ、繊細さとミネラル感を引き出している。

ドサージュを行わずブドウ本来の味わいが楽しめる。

※シャルドネのみ使用

ペアリング

高級な魚介といただくのがおすすめ。スズキ、ホタテなどをレモン・タイム・オリーブオイルなどで仕上げたものなど。

 

・グラン シエクル

https://www.laurent-perrier.com/fr/

〝偉大な世紀〟と言う名のシャンパンです。

グランクリュの中でも最良の畑から選び抜いた白ブドウと黒ブドウを用いて、3つのヴィンテージを合わせて単一畑では得られない複雑なバランスを生み出しています。

ノン・ヴィンテージでは無く、〝マルチ・ヴィンテージ〟と呼ばれるプレステージシャンパン。

※シャルドネとピノ・ノワール半々

ペアリング

高級で洗練されたお料理、特に高級魚や甲殻類。

キャビア、ホタテのカルパッチョ、ロブスター、トリュフ風味のチキン、牡蠣のシャンパンソース添え

 

・アレクサンドラ ロゼ

ベルナールが長女(現当主)のアレクサンドラの名前を冠して造ったロゼのヴィンテージ・シャンパンです。

グラン・クリュの選び抜かれたブドウを使用して5年〜10年の熟成期間を経て出荷される最高級のロゼになります。

※ピノ・ノワールを主体にシャルドネをブレンド

ペアリング

高級な食事に。天ぷら、ローストしたロブスター、トリュフを使った料理、鹿肉などのジビエのベリーソース仕立てなど。